配管ジャーナルPiping Journal

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フロート式スチームトラップの特徴|メリット・デメリットを解説

スチームトラップは、蒸気が冷えることで発生するドレンや空気を自動的に排出し、蒸気配管や関連機器の保守、効率的なエネルギー運用を行う装置です。

フロート式スチームトラップは複数の種類があるスチームトラップの中でも、工場やプラントの生産プロセスや暖房システムなどで広く活用されています。しかし、フロート式のスチームトラップについての深い知識がなく、選定に悩んでいる方は少なくありません。

この記事では、フロート式スチームトラップの概要と構造、原理、メリット・デメリットを紹介します。

参考:株式会社ベン発行「自動弁へのアプローチ スチームトラップ編」

フロート式スチームトラップの特徴

フロート式スチームトラップは、蒸気を漏洩させずに ドレンや空気だけを排出し、機器の不具合を防ぎます。ドレンを素早く排出することにより、蒸気配管の腐食や劣化のリスクを低減できます。加えて、蒸気漏れを起こしにくく省エネ性能が高いという特長があるため、蒸気配管のドレン抜きに適性があります。

主に化学工場や製紙工場のほか、食品加工工場、飲料製造工場、発電所、温泉施設など、さまざまな業界の生産プロセスで生じるドレンの排出に活用されるなど、汎用性が高いという特徴も持っています。

配管や機器内に発生したドレンを排出しなければ、電熱面積が減少し、熱交換効率の低下だけでなく、配管や機器の腐食を招きます。フロート式スチームストラップによってドレンを排出することで、効率的に蒸気運用を行うことができます。

フロート式スチームトラップの構造・作動原理

フロート式スチームトラップ内には、ドレンの排出を制御する主弁とフロートがレバーを介して繋がっています。ドレンがトラップ内に溜まるとフロートが浮上し、弁開して排出します。フロートが下がると自閉します。

再びドレンが発生すると、フロートが浮上して排出を再開します。

フロート式スチームトラップのメリット2つ

この項目では、フロート式スチームトラップのメリットとして、以下の2つを紹介します。

  • 耐久性
  • 排水能力

1.耐久性

フロート式スチームトラップの1つ目のメリットは、工場の生産プロセスや建物の暖房システムなど、多様な環境に対応できる耐久性の高さです。

フロート式スチームトラップは構造がシンプルに設計されており、内部で稼働するパーツが少ないため、摩耗による故障のリスクが低いです。

日常点検による不具合のチェックとドレン抜き、清掃を行うことで、トラブルのリスクを減らし、長期間にわたって高い機能を維持できるでしょう。

2.排水能力

フロート式スチームトラップの2つ目のメリットは、排水能力が高いことです。

ドレンの発生量に応じてフロートが浮上して弁が開いてドレンを連続排水します。

フロート式スチームトラップには、大容量のリボイラーのような大量のドレンに対応するものなどがあり、用途に応じた容量を選べます。選定の際には流量条件を考慮し、適切な排出能力を備えたものを選ぶといいでしょう。

フロート式スチームトラップのデメリット

フロート式スチームトラップのデメリットには、以下の2つがあります。

  • スチームハンマーに弱い
  • 凍結による破損のリスクがある

それぞれについて解説します。

スチームハンマーに弱い

フロート式スチームトラップの構造上、スチームハンマーには弱いです。

スチームハンマーは、高圧によって押されたドレンや蒸気が配管内で加速してぶつかる現象のことを指します。発生したドレンが配管や付属機器、部品、またはドレン同士で衝突することにより、スチームハンマーが発生します。

スチームハンマーが発生すると、フロート式スチームトラップの浮動体に衝撃が伝わり、摩耗が生じて故障につながるというリスクがあります。

凍結による破損のリスクがある

気温の下がる冬場や日の当たらない冷えやすい環境の場合、凍結による破損のリスクがあります。

例として、フロートの凍結によって正確な水位を感知できずトラップ内の弁の開閉が正常に行えなくなる場合や、弁の凍結によって開閉動作が行えなくなるなどによってドレンを正常に排出できなくなる場合が挙げられます。

凍結を防止するためには、電熱テープを使用してフロートやバルブを保温します。

用途・ドレンの発生量に応じて適切なフロート式スチームトラップを活用しよう

フロート式スチームトラップはシンプルな構造で摩耗が少ないのが特徴です。トラップ内に流入したドレンを連続排出することで腐食によるトラブルリスクを低減し、効率的にエネルギーを活用できます。

フロート式スチームトラップには耐久性や排水能力の高さに違いがあり、それぞれの能力によって、蒸気配管や熱交換機器などさまざまな用途に利用できます。フロート式スチームトラップを選定する際は、耐圧や耐温、作動圧力範囲、排出能力などを慎重に考慮する必要があります。

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