配管ジャーナルPiping Journal

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グルービング配管の特徴と用途を解説

グルービング 配管 加工

配管設備を施工する際、既存配管が天井や床下、壁の裏側などの難所に設置されており、交換に苦労することがあります。その場合、グルービング配管を使用すれば、施工性と安全性の高い作業がスムーズに行えます。

この記事ではグルービング配管の特徴や用途、メリットなどについて紹介します。

グルービング配管とは

グルービング配管とは、ハウジング継手とグルービング加工による配管の施工方法です。グルービング加工とは、パイプに溝加工を施す技術を指します。

導入当初のグルービング加工には手動ポンプ式グルービング加工機と呼ばれる機械を使用していました。唯一の欠点が、安定した加工がしにくく、管端がラッパ状に開いてしまうことです。ハンドルを手動で押してローラーの送り速度を調整するため、速度が安定しないことが原因でした。管端のラッパ状がきついと継手のガスケットが入らず、やり直さなければなりません。

現在の自動ポンプ式グルービング加工機と手動ポンプ式グルービング加工機との違いは、加工精度の向上が挙げられます。自動ポンプ式グルービング加工機は、電動ポンプでローラーの送り速度が一定になるうえ、ヘッド自動調芯機能があるため、溝の深さや寸法などについて、高い精度の溝加工ができます。

ヘッド自動調芯機能とは、パイプを加工機にセットする際に多少ずれていても、ヘッド部が自動的にパイプに倣って動く機能です。これにより、管端がラッパ状になりにくいです。

自動ポンプ式加工機は、研修後、ある程度の経験を積むことで安定して操作できるようになるため、技術者によって品質のばらつきが少なく済みます。

グルービング配管の用途とメリット

グルービング配管は消火栓、スプリンクラー、連結送水管などの消火設備や給水管に使用することが通例です。ここでは、グルービング配管が消火設備や給水管に使用される理由とメリットについて紹介します。

優れた施工性

グルービング配管は天井や床下、壁の裏側などの狭いスペースでの施工に適しています。パイプを接合する際、管端を突付き合わせてハウジング形管継手で2点を締め込むことで容易に接合できるからです。

また、施工には溶接を伴わないため、火気厳禁の現場でも使用できることに加え、溶接の資格を持っていない作業者も施工できます。

耐震性

グルービング配管は、高層住宅やビルなど地震による振動が発生しやすい場所にも対応可能です。グルービング配管の接合に使用するハウジング経管継手には、伸縮可とう型というものがあります。伸縮可とう型は伸縮性と柔軟性を兼ね備えており、地震の振動だけでなく、温度変化の激しい空調配管にも向いています。

施工ミスを見逃しにくい

ハウジング形管継手の施工ミスは、外観を目視することで確認できるケースがあります。グルービング配管を接合する際のガスケットのズレや挟み込みは、ボルトを締め込む際に生じる隙間の有無で判断しやすいからです。

隙間が空いている場合はガスケットのずれや挟み込みが生じている可能性があり、同様に、ボルトが片締めになっている場合も、ボルトの締め込み具合で正確に施工できているか判断できます。

交換しやすい

経年劣化や損傷により交換が必要な場合は、対象となる部品だけを外して代替品に交換します。グルービング配管は施工の手間と時間がかからないため、交換依頼があった場合もすぐに対応できます。

グルービング配管の手順

グルービング配管の施工には、ハウジング形管継手を使用します。パイプ2本をハウジングとガスケットを使ってつなぐ構造をしており、ハウジングの爪を溝にはめ込み、ボルトとナットで固定してパイプを接合します。

ハウジング形管継手の施工の手順は次の通りです。

  1. ガスケットとハウジングの内面に潤滑剤を塗布する
  2. ガスケットを取り付ける
  3. ハウジングを取り付ける
  4. ボルトを締め込む

ガスケットの取り付け時には、ロールグローブと呼ばれる溝加工部に損傷や異物がないか確認してから、片方の接続部にガスケットを合わせます。もう片方のパイプの管端を差し込こんで合わせ、ガスケットが均等にまたがるように調節します。

ハウジングを取り付ける際には、ガスケットに被せるようにセットします。この際、ハウジングの掛かり止めがロールグローブに正確にはまっているか、確認することが重要です。ボルトを締め込む際には、ラチェットレンチを用いて締め込みます。インパクトレンチの使用は、ガスケットを傷つける恐れがあるため禁止です。

施工時の注意点

施工時には潤滑油の塗り忘れやガスケットの片寄り、挟み込み、ボルトの片絞めに注意します。ガスケットが正確に噛み合っていないと、漏れが発生するリスクがあり危険です。ガスケットの挟み込みを見つけた場合は、亀裂や損傷の有無を必ず確認し、問題があれば新品と交換する必要があります。

配管の施工が難しい現場にはグルービング配管を

グルービング配管は高い場所や狭い場所など、施工が難しい現場に適した配管です。ハウジング継手を使用するため配管の接合を容易に行えるため、必要な工具や人員も少なく済み、施工にかかる手間と労力が削減できます。

優れた施工性があることから天井のスプリンクラーや床下の消火設備配管、給水管などの施工の難所にも使用されます。外観から施工ミスが確認でき、漏水のリスクも軽減する優れた配管部材です。配管のグルービング加工やハウジング継手をお求めの方は是非三興バルブ継手株式会社にご相談ください。

最近では、お客様より送っていただく現場の写真を元に、経験豊富な担当者が資材を選定して納品するご依頼が増えています。現場に合った資材を選べるため、判断が難しい現場はメールやチャットボットにてご依頼ください。

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