配管ジャーナルPiping Journal

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高層階にも対応|直結増圧給水ユニットとは

増圧給水ユニット 荏原製作所

給水設備の一種である増圧給水ユニットは、近年、都市部を中心に多くの水道事業体で採用され、注目を集めています。 この記事では、増圧給水ユニットとはどういう給水設備なのか、異常があった場合はどう対応するのかを説明します。

直結増圧給水ユニットの概要

増圧給水ユニットの仕組みなど概要を説明します。

直結増圧給水ユニットとは

マンションやビルなどの建物に設置される給水設備は、一般的に直結給水方式と受水槽方式の2種類に大別されます。直結給水方式のうち、近年都市部を中心に各水道事業体で採用されているのが「増圧給水方式」です。

「増圧給水方式」を運用するのに必要な逆流防止器、制御盤、圧力タンク等を配置した総称が増圧給水ユニットです。加圧給水ユニットに比べ、増圧給水ユニットは屋外に設置されることが多い傾向があります。

直結増圧給水ユニットの仕組み

「増圧給水方式」は、水道本管から分岐した給水管に給水ポンプユニットを直接接続し、給水管の圧力を給水ポンプユニットによってさらに増圧するという仕組みです。排水管内の水圧を利用しつつ、給水管に設置した増圧ポンプでさらに水圧を加え、中高層階まで直結給水します。

増圧給水ユニットは高層階にも対応可能

増圧給水ユニットは、日本水道協会の規格によって吐出し圧力が0.75 MPa以下と規定されており、16階程度までの建物への適用に留まっていました。しかし2009年より、東京都水道局を皮切りに横浜市水道局、名古屋市上下水道局、仙台市水道局等など一部の水道事業体で、複数のユニットを直列に設置する直列多段型が認められるようになりました。

そのため現在では、30階程度の高層建物についても増圧給水が対応できるようになっており、高層階用ユニットは中間階に設置されます。増圧給水ユニットは基本的な給水が直結方式なため、大規模な受水槽を設置する必要がないメリットがあります。

トラブルとエラー対応

増圧給水ユニットで発生しやすいトラブルと、エラー対応方法を紹介します。

給水栓を開いても水が出ない

流入側の圧力が低下していることが原因です。水道局に相談し、流入圧力を上げて対応します。

給水栓を閉じてもポンプが停止しない

フロースイッチおよび結線の不良が原因です。点検・修理が必要となります。

ポンプがチャタリングを起こす

圧力タンクの不良、封入圧力が低下しているかのいずれかが原因です。圧力タンクの不良の場合は点検、修理します。封入圧力の低下の場合は、規定圧まで空気圧を上げます。

インバータ保護動作が作動する

電動機の不良が原因のため、点検・修理が必要です。

まとめ:高層階でも使用可能な直結増圧給水ユニット

直接水道管から給水が可能な増圧給水ユニットは、近年多くの水道事業体から採用されています。直列多段型によって、30階程度の高層階でも使用できるため、今後も多くのビル・マンションなどで使用される可能性もあります。異常や故障が発生すると、断水やウォーターハンマーなどの事象も現れるため、定期的な点検などが求められます。

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